最近読んだ近年の歴史学方法論関係の書籍(2)言語論的転回<2>日本での受容

 今回は、言語論的転回の日本での受容です。  私の学生時代(1980年代)は(私の周囲では)、このあたりの議論は、歴史学側にぜんぜん受容されてはおらず、史学科の人に、歴史方法論を勉強している、というとマルクスか、ウェーバーか、ときかれ、どちらでもない、と答えると、うさんくさそうにトインビー?生態史観?と口にされるような状態で、よくても哲学だと誤解され、前提が遠すぎて話が通じない状況でした。言語…

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最近読んだ近年の歴史学方法論関係の書籍(2)言語論的転回<1> 

 今回は、主に、ミネルヴァ世界史叢書の編集委員に、言語論的転回がどのようにインプットされたか、について読んだ書籍が中心です。 ミネルヴァ世界史叢書の総論の巻である『「世界史」の世界史』の最終章では、言語論的転回が正面から取り上げられています。この章は、桃木氏が文章化、それを編集委員がレビューしたとのことなのですが、編集委員でも議論が完全に一致しているわけではなく、「編集委員間ですら、共有されて…

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最近読んだ近年の歴史学方法論関係の書籍(1)『思想』2018年3月号関連

というタイトルにしてみましたが、完読したものは少なく、一部に眼を通しただけのものも多いのですが、最近この分野が盛り上っていて、類似の書籍が多数出版されているようなので、少しさわりのところだけ読んだものも含めて所感をまとめてみました。主にこの一ヶ月くらいに読んだ書籍です。まとめているうちに長文となってきたため、数回に分割します。 『思想』2018年三月号「特集:〈世界史〉をいかに語るか――グ…

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古代の女優

 4月に発売となった、web漫画『うたえ!エーリンナ』で興味が出たので、調べてみました。古代ギリシアの舞台劇では、男性役者が女性役を演じていることは知っていた筈なのですが、『女の平和』『女の議会』などの劇では女性が主役であることから女優もいたのではないか、とうっすら考えているところもあり、この矛盾する情報は深く考えることなく共存していました。「エーリンナ」で興味が出て、桜井万里子著『古代ギリシア…

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ベトナムにある漢代交趾郡県城遺跡ルイロウ遺跡(ルンケー城)の発掘調査書籍

 現ベトナム・ハノイ郊外バクニン県にある漢代の県城遺跡のルンケー城(ルイロウ城)(こちら)。2007年11月に訪問しているのですが、遺跡情報や発掘情報があまりなく、残念に思っていたのですが、いつの間にか日本語の詳細な発掘調査書籍が出版されていました。 『交趾郡治・ル イロウ遺跡II-2014-15年度-発掘調査からみた紅河デルタの古代都市像』(フジデンシ出版; 初版 (2017/3/30)…

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ウォルター・シャイデル著『The Great Leveler』

 古代ローマの数量経済史のウォルター・シャイデルの昨年の新著『The Great Leveler: Violence and the History of Inequality from the Stone Age to theTwenty-First Century』を取り寄せました。経済関連書籍としては、米国では結構売れたようです。全部を読みたいと思ったわけではなく、ローマ時代から14世紀ま…

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4月のリニューアルで大幅に向上したSeesaa BLOGの使い勝手

 今年2月まで11年4ヶ月利用してきたエキサイトブログからSeesaaブログに移動したのですが、エキサイトブログを開始した2006年当時相当の機能だったので、使い始めた当初は若干面倒な感じがしていました。エキサイトブログも以前はそのような機能で使い続けていたことだし、そもそも無料で利用できるブログに贅沢は言えるまい、と思っておりました。ところが、そのSeesaaBLOGが、4月半ばに突然大幅に機…

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最近の読書と映画:『星の時計のリデル』、『ポーの一族』、清原なつの『じゃあまたね』等々

※澤井一彰氏論説『征服一四五三』とトルコにおける「オスマン帝国イメージ」の変化』(地域研究 / 地域研究コンソーシアム『地域研究』編集委員会 編 13(2) 2013-03 p.433-442)が(こちら)で公開されています。 昨年も今年も、年末年始から3月上旬にかけては、順調に重たい専門書が読めました。しかし3月中旬からあまり読めなくなりました。昨年のその後は、GWに調べた内容を夏場まで…

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現代人文学における『転回』の過剰 

 本書は、ここ数年活況を呈している歴史学方法論をテーマとしています。岩波書店『思想』2018年3月号 「特集:〈世界史〉をいかに語るか――グローバル時代の歴史像」は、読書案内としてタイムリーな企画でしたので、全部の記事を読んでしまいました。雑誌の記事を全部読むのははじめてではないかと思います。  ここ数年多数出版されている歴史学方法論の読書ガイドとして有用かと思いますが、ひとつ気になったのが、…

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後漢・班昭『女誠』

 『女誠』とは、『漢書』の著者班固の妹の班昭が、自分の娘たちに対して、結婚するにあたっての心構えをまとめた文章です。文章自体は『後漢書』84巻の班昭伝(5世紀)に収録されているものです。しかしながら、班昭自身の作品であることを否定する材料もないため、現時点では、恐らく中国最古の女性の手によるまとまった現存著作物、ということになるのではないかと思います。後漢書所収とは知らなかったので、原文(こちら…

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