今年読んだ書籍ベスト
1.古代ローマの帝国官僚と行政:小さな政府と都市(感想)
2.彼らがいなくなる前に
3.羅馬土地所有制
4.ザクセン人の事績(感想)
5.古代ローマを知る事典
6.イタリア現代政治史(感想)
7、中世の東海道を行く
8、古代農民忍羽を訪ねて(感想)
9.失われた宗教を生きる人々(感想)
10.黒海の歴史(感想)
11.古代ローマの庶民たち
12.山川世界史体系3南インド
13.唐宋時代の家族・婚姻・女性
他に役に立った書籍、印象に残った書籍は以下のものがあります。
世界子どもの歴史古代ギリシア・ローマ(感想)、ユリアヌスの信仰世界、カロルス大帝伝(再読)、サントクロワ修道院異変(感想)、ドゥオダの遺訓書(感想)、西洋中世の女性たち(感想)、フランス宮廷のイタリア女性「文化人」クリスティーヌ・ド・ピザン(感想)、山川各国史イタリア史(感想)、
浮気な国王フェリペ四世(感想)、スペイン フランコの40年、
古代インド・ペルシァのスポーツ(紹介)、アルメニア人の歴史(感想)、フェルマーの最終定理、世界の名前、チャラカの食卓(古代インド料理本)(紹介)、モンゴル帝国の誕生・チンギスカンの都を掘る
飛鳥の木簡、室町幕府と地方の社会、史料論(岩波講座日本歴史21)、
中央銀行は持ちこたえられるか、格差で読む日本経済、私たちはなぜ税金を納めるのか-租税の経済思想史
あの素晴らしい日ペンの美子ちゃんをもう一度、殺人出産、ラピズラズリ、
古代ローマ本は、昨年後半から増加していましたが、『ユリアヌスの信仰世界』で止まってしまいました。この本はまだアマゾンにレビューが書かれていません。ぜひレビューを書きたいのですが、社会史ではなく、ユリアヌスの個人的思想と宗教等当事の社会思想史の本なので、当事の思想史について基本的な知識がなさすぎで難しい感じです。イアンブリコスとか関連論文すら読んだことがない私には力不足です。ユリアヌスについてはこれまで、辻邦生『背教者ユリアヌス』、ローマ帝国衰亡史第3巻、グレン・バウアーソック『背教者ユリアヌス』、塩野七生『ローマ人の物語』14巻、南川高志『背教者ユリアヌス』などの小説・概説書、南川高志、南雲泰輔氏のいくつかの論文を読んだだけなので、やはりこれでは本書を論評するには、まったく足りない、ということが『ユリアヌスの信仰世界』を読んでよくわかりました。この時期は、政治史は比較的史料もありわかりやすいのですが、社会経済史がどうにもぴんときません。多分地域を捨象してしまうローマ法大全や、個人思想が前面にですぎな感のあるリバニウスやギリシア語圏の諸思想やキリスト教史料が、社会一般や各地域の風景にピントを合わせにくいことにあるような気がします。
今年はアンミアヌス・マルケリヌス『ローマ帝政の歴史1』が出版されましたが、初巻には解説がないので、部分的に散読はすると思いますが、全部読むのは全巻が出て訳者解説を読んでから、となりそうです。
逆に『古代ローマの庶民たち』には、当事の関連文献を比較的読んで来れた、という印象を持ちました。2世紀のローマは文献史料が少ないため、この本では文学史料も積極的に活用しており、『サテリコン』「黄金の驢馬』『エフェソス物語』『エティオピア物語』(2世紀ではないが)等文学作品が多数引用され、他にも『プリニウス書簡集』やルキアノス諸著作など、でてくる史料の多くは既読のものだったので、比較的論評しやすい感じでした。アルテミドロス『夢判断の書』は未読なので、そのうち読んでみようと思ったのと、ルキアノスはやはり当事の東方社会を活写したものとして重要資料だと再認識しました。まだ未読のものも多いので、いつかはルキアノス(の邦訳分)はコンプリートしたいと思います。
一方古代末期の流れで昨年末出版された『ランゴバルドの歴史』を読もうとしたところあまり読み進めず、目先を変えるべく読んだ『ドゥオダの遺訓書』から別の方向に走ってしまいました。中世女性回想記つながりで、『更級日記』を再読し(『蜻蛉日記』と『十六夜日記』は挫折)、更科日記が平安中期東海道を旅していることから、鎌倉時代の文献と環境学や考古学を利用して当時の景観に迫った『中世の東海道を行く』を読み、その前後の時代、室町時代の地方社会景観に迫った『室町幕府と地方の社会』、古代葛飾の地域社会復元本『古代農民忍羽を訪ねて』を読みました。古代中世史料として木簡の解析研究がだいぶ進んでいるようだったので、『飛鳥の木簡』、『史料論』を読みました。これらは良書だと思います。
世界女性史シリーズもチェックできなかったし、ディアコヌス『ランゴバルド史』も冒頭数頁で挫折、中世前期を扱った竹部隆昌氏の論文は4本しか読めず、あれも読めない、これも読めない、と思っていた一年でしたが、終わってみれば比較的充実していたように思えます。
今年はヘイドン・ホワイト『メタヒストリー』が遂に邦訳されて話題となっていました。一応買いましたが、学生時代からこの議論についての文献はさんざん読んできたので、今更感があるのと、既に議論は先に進んできていて、古典の位置づけになっているので当分は読みそうもありません。
学生時代話題になっていた未訳書で、それらの書を論じている文献を多数読み、邦訳を読みたいと思っていた書籍には以下のものがあります(今思いつくところでは)。
ブローデル『地中海』、エーコ『薔薇の名前』、ジョルジュ・デュビー『ブーヴィーヌの戦い』、ホワイト『メタヒストリー』、ダントー『物語としての歴史』
しかし、実際出版されて完読したのは『薔薇の名前』と『ブーヴィーヌの戦い』だけ。『地中海』は4巻まで購入し、完読したのは2巻まで。3-6巻は、興味のある章だけ読みました(5-6巻は図書館)。サイード『オリエンタリズム』やドゥルーズ=ガタリ『アンチオイディプス』などは、読みたいと思っていたところ、在学中に邦訳が出てしまい、しかしその分厚さと高額さに、結局買えずに、社会人になって数年後に古書や廉価版を購入したものの、未だに完読していません。ダントーも読んだのは一部だけ。『メタヒストリー』も多分これらと同じ運命を辿る気がします。
今年視聴した映画ベスト
2.モヘンジョ・ダロ(日本未公開)(紹介)
3.ルートヴィヒ神々の黄昏完全版
4.(オスマン帝国外伝~愛と欲望のハレム シーズン1(再視聴))
5.ズートピア
6.バイオハザード・ファイナル
7.スターウォーズ ローグ・ワン
8.パッセンジャー
9.ジェイソン・ボーン
10.メランコリア
11.ワンダー・ウーマン
全体的には低調です。1位がない感じです。ルートヴィヒは公開時1980年に184分版を見ているのですが、今回237分の完全版を視聴しました。今年は、『オスマン帝国外伝』や『イサベル』など、英仏中韓以外の近世歴史大河ドラマが日本で放映されるという日本史上画期的な年(私にとっては)でしたが、私が視聴した作品は全体的に低調でした(壮麗なる世紀が放映してくれたのは感無量でしたが、インド映画がファンタジー過ぎて・・・・)。『イサベル』は、放映時にこのブログでも紹介はしていたのですが、実はトレーラーさえ見たことがないのでした。なぜかイサベラ時代に興味がわかないのです。コロンブス映画を何本も見ているので、もういいよー、と思っているからかも知れません。イサベル日本語字幕dvdがレンタルで出たら見ようかとは思っています。来年は『エカテリーナ』がやるそうですから、これも視聴者の感想経由で内容を知るのが楽しみです。大河ドラマはとにかく見ている時間がないので、どんどん日本で放映されて、(日本では)マイナーな歴史映画・ドラマの日本語情報がどんどん増えていくことを願っています。本当は今年年初に放映されていた中世スペインの大河ドラマを紹介したかったのですが、まったく時間が取れないうちに1年が終わってしまいました。来年はなんとかしたいと思っています。
今年は有名どころだけですが、SF映画をよく見ました。パッセンジャー、パンドラム、ゴースト・イン・ザ・シェル、ロスト・エモーション、サンシャイン2057、ザ・コア、メランコリア、バイオハザード・ファイナル、メッセンジャー、ワンダー・ウーマン、エイリアン・コヴェナント、ブレードランナー2049、
個人的にバイオハザードは、3と6が一番好きです。どっちもマッドマックス調の世界です。ミラ・ジョヴォヴィッチは、顔があまり好きではないのですが、髪が逆立ってぼろぼろの服を重ね着してコピスのような剣を二本両手で振り回している姿が一番かっこいい。
個人的には。『ローグワン』は、スターウォーズシリーズの中では、シスの復讐に続いて好きな作品となりました。
『メッセンジャー』は、映像は良かった。『あなたの人生の物語』が原作なのでは?、と見ている途中で気づいたので、一応原作の映画化に成功しているものと思えますが、やはりこの小説の映像化は難しいと感じました。
『ワンダー・ウーマン』は、台詞のほとんどがハードボイルドのように短くわかりやすい用語で、英語がわかりやすかったのが一番印象に残りました。英語の教材に向いていそうです。
その他、高慢と偏見とゾンビ、ローマ人の王のための投票(カレル4世)、狼の子(メロヴィング朝)、クリスティーヌ クリスティーナ、未来を花束にして、バージラーオとマスターニー、クラッシュ(2004年)、本能寺ホテル
などが印象に残りました。『木根さんの1人でキネマ』という漫画に影響されて、遂にいい年して『エヴァンゲリオン』(最初のTV版)を見てしまいました。作業しながら流していただけなので、あまり集中していなかったということはあるものの、私にはいまいちピンときませんでした。恐らく思春期の頃見ていたら影響を受けたのかも知れません。私にとってはこの手のものは初代ガンダムでいいかな。という感じに終わりました。
今年は推理小説やミステリー映画をほとんど見ていない、という点も特徴のある年でした。
漫画
1.あさひなぐ、
2.動物のお医者さん(再読)
3.ゴールデン・ゴールド、
4.雪花の虎
5.日ペンの美子ちゃん
6.狼の口~ヴォルフスムント~
7.そこをなんとか
8.サプリ
9.クォ・ヴァディス
10.思い出停留所
私にとって今年の漫画での最大の話題は『日ペンの美子ちゃん』がツイッター掲載で再開されたことでしょうか。思わず『あの素晴らしい日ペンの美子ちゃんをもう一度』まで読んでしまいました。この六代目作者は風刺の才能がありますね。
『あさひなぐ』は、21巻がピークだったような気がします(今のところ)。今年は映画化や舞台化が続き、作者が作品に集中できていなかったような印象があります。やす子センセイの過去についても、どう見ても21巻の回想では中学か高校生に見えたのに、22巻で大学時代の話になっていたのには、21巻で設定考え切れずに書いてしまったのでは?と思わざるを得ない展開でした。絵的に違和感はあるものの筋事態は悪くはないけど。
動物のお医者さんは3-12巻を25年ぶりくらいで再読。佐々木倫子氏はほぼデビュー時から読んでいて、考えてみると、いままででたコミックを殆ど買っている稀有な作家でした(そうして殆ど完結時に古書店行きとなっていた)。コミック未掲載作品の切抜きもまだ実家にあります。佐々木氏は動物のお医者さんの頃(特に7-8巻のあたり)がピークだったように感じられました(その後の「Heaven」も「おたんこナース」も「チャンネルはそのまま」も面白いのですけど)。
『雪花の虎』 上杉謙信女性説をネタとした作品。一言でいえば宝塚です。しかし景虎かっこいい!!
今年は、『東京タラレバ娘』の完結も話題になりました。個人的には、(確か)第三巻の、ジェットコースターのピークに向かってガタンガタンと昇っているところで、主役三人娘が引き攣っている描写が作品としてのピークだったような気がします。あの場面を最初に読んでインパクトを受けて結局最後まで読みましたが、後半はグダグダで終わった感じ。
『そこをなんとか』『サプリ』も20-30代の独身者が主要登場人物のお仕事漫画ですが、40歳くらいまでは私もこんな感じだった、と共感できる部分が多数ありました。『サプリ』は、アマゾンに辛口のレビューがあり、「これはあくまでサプリ」でありリアルではないのだ、という指摘があり、私もその通りだとは思います。特にラストの方の展開は、現実は厳しい、そんなに都合よくいくわけない、とは思いました。しかし、『サプリ』においていくつかある都合の良すぎる展開以外の部分で、仕事中毒独身者の生態やあるあるが良く描かれているように思え、「夢を見る頃を過ぎても、自分を走らせるための燃料として夢は必要なのだ」、結末についてはあくまで「夢」を描いた作品なのだ、だから「サプリ」である、という意味において、本書は悪くない作品だと思っている次第です。
主人公が「仕事中は休みたいと思い、休みには仕事が気になって仕方がない。『エリア88』か!?」というような自問をする場面がありますが、現実の職場でも、何人も『エリア88』が好きな方に出くわしたことがあります。きっと『エリア88』のような感じに仕事と生活が感じられているワーカホリックな人は多いのではないかと思います。そしてある日同僚から戦死者が出て、それをきっかけに生き方を変えようとそれぞれが思う、というような。
完結が話題になったといえば、映画にもなった『アイアムヒーロー』の完結が酷いということで逆に興味を持ち、これも金曜夜から土曜の昼にかけて漫画喫茶で一気読みしました。ルサンチマン感に溢れているのが気になって好きになれませんでしたが(そしてその通りの『ルサンチマン』という作品がこの著者にあることも知って納得した)、取材写真を活用したリアルな画は迫力はありました。結局SFではなく、主人公にとっての恐怖を描いた単なるホラー作品で終わった感じです。
他によかった作品には以下のものがあります。
おもいで停留所、四月は君の嘘、エンジェル・トランペット、狼と香辛料、少年十字軍、
今年は西欧中世史がらみの漫画もいくつか読みました。
『狼と香辛料』と『少年十字軍』、は、学生時代以来の今年の中世回帰マイブームの中でこれも漫画喫茶で一気読みしたもの。『狼と香辛料』は、少女姿の狼という設定は馴染めませんでしたが、作者が阿部謹也を好きらしい、ということで興味を持って読んでみました(私が学生時代の西欧中世史は、フランス史はアナール派、ドイツ史は阿部謹也という時代でした)。西欧中世ファンタジー設定なのに、後期中世世界がかなり良く描けている良作だと思いました。しかし、実際の中世であれば、主人公の商人は、14巻までの間で3-4回死んでいる筈で、狼神の助けで生きていることができる、というところは、やはりファンタジーだと思えました。
『少年十字軍』は、『狼と香辛料』をこなしたので、今なら読める、と思って読んだもの。ほとんど仕事のノリで読みました。が、予想以上に良かった。丸尾末広や20世紀のガロにあるようなシュールっぽい絵柄はなかなか馴染めませんが、残酷な中世の事件を描ききった力作だと思います。
同様に、昨年読んだ作品の中で(2016年完結ですが、最終巻を読んだのは今年)、作者が思うところを描きった力作に『狼の口~ヴォルフスムント~』がありました。スイス独立戦争のモルガルテンの戦いを描いた、残酷な場面の多い作品で、途中までは残酷過ぎるところが気になっていたのですが、そのあたりも含めて見事な完結具合でした。これは歴史漫画史上に残る傑作だと思います。
『エンジェル・トランペット』は、どうみても行動力、判断力が高校生ぐらいの数名の小学生たちが、国家権力の陰謀に立ち向かう話。無理な設定なのに、違和感なく引っ張るところはさすがの力量です。基本的に昭和的な香りのする設定とストーリーですが、これも徹夜で一気読みしてしまいました。
『四月は君の嘘』。もらい泣きしてしまいましたが、人の死を扱って読者を無理やり感涙させるような作品はあまり好きではありません。架空の話以前に、現実に死は身近にあるからです。そういうわけでベストには上げたくないのですが、一気に読ませる作品だと思います。題名がアレですが、アニメのBGM曲『友人A君を私の伴奏者に任命します』があまりに気に入り、アニメの最初の数話と最終回も見てしまいました。『友人A君を私の伴奏者に任命します』を気に入るあまり、20年近く使っていた東地中海の衛星画像のパソコンの壁紙を『友人A君を私の伴奏者に任命します』のイメージ画に変えてしまったくらいです。夜明けの太陽をバックにウユニ湖で演奏しているようなイメージのこれです(個人的にはウユニ湖より、北極か、異星か異次元世界とのイメージです)。
[#IMAGE|a0094433_09574734.jpg|201712/19/33/|mid|1265|714#] 私の人生の中では、「壁紙が変わった年」として記憶されそうな気がします(あと、アマゾンでの購入件数が100件を突破した年としても記憶されそうです(実家への生活物資購入分を除く)。理由はアマゾンの中古本配送料の値上りを予想して春から夏ごろ、中古100円以下の購入予定書籍を一気に購入したため)。
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