書籍
今年も昨年に続き、今年出版された書籍だけでベストが組めるくらい今年出版の本を読みました。完読した本は3年連続で50冊を越えました。今年はそれほど多く読んだ感触はなかったのですが、コロナで大学図書館へいけなくなってしまったために調べものはほとんどやらなかったことや、普段でさえインドアが多いのに、コロナでいつも以上に出回ることがなかったため、その分読書割合が増えたためだと思われます。昨年に続き新刊書籍の割合が高いのも、ビザンツ本の新刊ラッシュというだけではなく、コロナの影響もありそうです。コロナの影響で積読本の消化が見込まれましたが、それほど割合は多くはありませんでした。しかしビザンツ関連の研究書など長年の積読書籍の消化とコロナとは関係があるように思えます。今年出版された本の割合が増えていますが、ネットで感想を見極めてから読む習慣が定着した時代になってからは、非常に珍しいことです。ビザンツ関連と歴史方法論関連が今年出版本のベストに9冊入っていますから、たまたま今年私にとっての重要書籍の出版が続いた、ということかも知れません。
今年出版された本
1.論点・西洋史学(感想)
2.生まれくる文明と対峙すること(感想)
3.歴史学の縁取り方 -フレームワークの史学史
4.ローマ史再考(感想)
5.ポストトゥルース
6.マックス・ヴェーバー―主体的人間の悲喜劇 (岩波新書)(紹介※)
7.聖デメトリオスは我らとともにあり: 中世バルカンにおける「聖性」をめぐる戦い(感想)
8.歴史学の慰め(感想)
9.カエサル―内戦の時代を駆けぬけた政治家 (岩波新書)(感想)
10.歴史の転換期 4 1187年 巨大信仰圏の出現(感想※※)
11.『思想』2020年1月号 時代区分論(感想)
12.地図で見るドイツハンドブック(感想)
※中公新書の『マックス・ウェーバー-近代と格闘した思想』の方のレビューの中に紹介を記載
※※2019年12月23日の出版と年末間際の出版なので今年刊行分に含めた
その他、2050年世界人口大減、陸海の交錯が有用でした。ミステリー小説ではすごく面白かったわけではありませんが、珍しく新刊で出たばかりの指差す標識の事例、言語の七番目の機能(感想)を読みました。
購入したもののまだ読んでない本ですが、良書ですので挙げておきたい本として、『絵で旅するローマ帝国時代のガリア』と『完訳アヴェスタ』『人口の中国史』があります。
昨年以前に出版された本
1.オストロゴルスキー『ビザンツ帝国史』(感想)
2.ローマ帝国の東西分裂(感想)
3.文化史とは何か(初版)
4.歴史とは何かの歴史(感想)
5.ビザンツ貴族と皇帝政権(感想)
6.テマ反乱とビザンツ帝国(感想)
7.Taste of Byzantium(感想)
8.三人の記号 デュパン、ホームズ、パース(感想)
9.ギリシア文化の遺産(感想)
10.歴史は現代文学である
11.中世初期フランス地域史の研究(感想)
12.ビザンツ 驚くべき中世帝国(感想)
13.ビザンツ帝国生存戦略の一千年(感想)
14.中華の成立: 唐代まで (岩波新書)(感想)
15.三体
その他、誰もが嘘をついている、誰が音楽をタダにした?、壁の向こうの住人たち――アメリカの右派を覆う怒りと嘆き、独ソ戦、文明の迷路(児童用の迷路遊び本) がよかった。
旧刊と新刊を合わせたベストは以下の通り
1.論点・西洋史学
2.生まれくる文明と対峙すること
3.歴史学の縁取り方
4.ローマ史再考
5.オストロゴルスキー『ビザンツ帝国史』
6.ローマ帝国の東西分裂
7.ポストトゥルース
8.文化史とは何か
9.歴史とは何かの歴史
10.ビザンツ貴族と皇帝政権
11.テマ反乱とビザンツ帝国
12.Taste of Byzantium
今年は早め(27日)にこの記事を完成させました。この後年末年始に集中して鈍器本を一冊読む予定で、その本は年内年始に読了は不可能なのはわかっているので、今年読了する本は現時点で終了しているためです。もしかしたら映画を見てそれがベストに入る作品がでてくるかも知れませんが、もし登場したら追記します。
今年見た映画・漫画ベスト
今年は凄く良かった作品は少なかったのですが、そこそこ面白いものは結構ありました。映画は例年並み(60本くらい)ですが漫画は激減しました。漫喫は一度も行きませんでしたし、最新話が読める雑誌のWeb漫画さえ読まなくなってしまいました。その分ネットでのテレビドラマの視聴がかなり増えました。これもコロナの影響かも知れません。今年の歴史作品の話題は歴史ドラマ好き界隈では『オスマン帝国外伝シーズン4』の日本放映だと思うのですが、残念ながら視聴している時間はないのでとりあえず短めの、ということで偶然見つけた『黄金のオルド』を視聴したところ、予想外に良いドラマでした(万人向けの面白さではありませんが)。
1.映画 女王トミュリス(紹介)
2.漫画 東京城址女子高生3(感想)
3.ドラマ 黄金のオルド(紹介)
4.映画 女王陛下のお気に入り
5.映画 皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ
6.映画 トレイン・ミッション
7.ドラマ 東京男子図鑑/東京女子図鑑
8.映画 ラスト・キング 王家の血を守りし勇者たち(感想)
9.映画 ザ・コンクエスト (シベリア大戦記)
漫画は、木根さんの一人でキネマ7やローカル女子の遠吠え6、虚構推理14 が相変わらず好調でした。マンネリ気味ではあっても、ハイレベルを維持しています。特に『木根さん』のゴジラの回は妙な感動がありました。ギャグコメディでの感動は予期していなかったので不意を突かれました。
トレイン・ミッションは、「フライトゲーム」の監督と主演者作品。初期設定の強引さが難点なのですが、そこさえ気にしなければ面白い作品です。「アンノウン」も導入は秀逸でしたが、後半の展開が強引過ぎて残念でした。
東京男子図鑑/東京女子図鑑 は、最初の方は浮ついた部分が目につき、ホイチョイ風のバブリーな作品なのかと思っていましたが、途中から同世代的な仕事風景にあるある感が多く、90年代後半から2015年くらいまでの同時代的な感覚が味わえました。
歴史関連映画
今年は久ぶりに歴史映画/時代劇を見た方です。しかも日本公開版ばかり。珍しい年となりました。大半はGyaoで視聴したもの。Gyaoで放映されている歴史映画は全部見ているわけではありませんが、1月に一本くらいのペースで未見の歴史映画が放映されている感じです。特に、10月に『トミュリス』と『黄金のオルド』を見て11月頭に京都ヒストリカ映画祭の作品を見てから勢いがつき、『指差す指標の事例』(チャールズ二世時代)を読んで加速して11月と12月で15本くらい見ました。お陰で11月以降は読書も小説に偏り、歴史学系の読書は殆どできませんでした。以下今年見た歴史映画。
ザ・グレイテスト・キング(前8世紀ローマ)、女王トミュリス(前6世紀中央アジア)、王朝の陰謀―闇の四天王と黄金のドラゴン―(7世紀唐)、空海 -KUKAI-(9世紀初唐)、VIKING バイキング 誇り高き戦士たち(10世紀ロシア)、征服王ウィリアム ソード・コンクエスト(11世紀英)、バトルフィールド(11世紀英)、ラスト・キング 王家の血を守りし勇者たち(1206年ノルウェー)、フューリアス 双剣の戦士(13世紀ロシア)、グラディウス-~希望への奪還(13世紀ロシア)、黄金のオルド(13世紀ロシア)、タイムライン(14世紀仏)、沈黙 -サイレンス-(17世紀日)、女王陛下のお気に入り(18世紀英)、ザ・コンクエスト (シベリア大戦記)(18世紀ロシア)、ジャック・ソード(19世紀仏)、荒地の少女グェン(19世紀英)、魂は屈しない(19世紀キューバ)、バベットの晩餐会(19世紀デンマーク)、義理の姉妹(1900年ウクライナ)、モスキート(一次大戦モザンビーク)、ラストハーレム(オスマン帝国の終焉)、フェリーニのアマルコルド(二次大戦伊)、パンズ・ラビリンス(二次大戦西)、暗殺のオペラ(二次大戦伊)、ミケランジェロの暗号(二次大戦墺)、否定と肯定(20世紀英)
今年はコロナで大変でしたが、そのおかげで京都ヒストリカ映画祭をネット公開で視聴することができました。
名作との誉れの高かったバベットの晩餐会と暗殺のオペラ、ずっといつか見ようと思っていたもの。ようやく消化できました。評判通りの良作。『女王トミュリス』と『黄金のオルド』でにわかに歴史映画に興味が戻って来て、いつの間にか日本語版が出ていた作品をいくつか見ました。その中では、「ラスト・キング 王家の血を守りし勇者たち」「ザ・コンクエスト (シベリア大戦記)」は掘り出し物でした。
その他一般映画で面白かったもの
パラサイト半地下の家族、明日へ(韓国)、雪の轍(トルコ)、運び屋、ウインド・リバー 見えない目撃者、ディナーラッシュ、ロスト・バケーション、ファインド・アウト、ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ
『パラサイト半地下の家族』は、アカデミー賞の監督賞や脚本賞はともかく、作品賞はいきすぎ、カンヌ・グランプリも行きすぎだとは思いましたが、キネマ旬報2020年ベスト上位にはなるのではないかと思います。前半のピカレスク風社会派映画が後半スリラーになってしまい、作品が前半と後半で折れてしまったような感じがしました。二本の別々の映画として作ればより完成度の高い作品になったのではないかと思いました。インパクトは薄れるかも知れませんが。社会派韓国映画としては、非正規雇用切り捨て抵抗ストの実事件を描いた『明日へ』の方がより完成度は高い印象を受けました。
ここ数年すっかりGyaoで無料映画を見ることが定着してしまいましたが、私の場合ほとんどブログ記事等を書きながらながら見しているだけなので、それほど期待してちゃんと視聴しているわけではないので面白くなくてもいいわけですが、たまに掘り出し物を見つけることがあります。
『ロスト・バケーション』というのは掘り出し物でした。メキシコの、地元民しか知らない人けないレアなスポットでサーフィンをしていた女性がサメに襲われ、海岸から少し離れた岩場で約2日間延々とサメと格闘する、という話。サーフィンができる女性というだけで俳優さんは限定されるため(技術の要る場面は代役らしいが)、あまり美人の人ではないのですが、それゆえリアル感があります。低予算C級作品なのだと思いますが、ピンポイントなシチュエーションに絞った小品としてはよくできています。
『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』、日本のアニメにインスパイアされた作品とされていますが、作品自体はあまり鋼鉄ジーグ的ではありません。主人公の恋人の娘が鋼鉄ジーグの大ファンで、主人公も鋼鉄の肉体という超能力を身に着けてしまい、最後は人々を守るために懸命になるという、SF設定ベースの社会派映画です。アニメという色眼鏡があると視聴者が絞られてしまうかも知れませんが、本作はむしろ米国の『運び屋』、英国の『私はダニエル・ブレイク』、韓国の『パラサイト半地下の家族』に連なる社会的弱者を扱った社会派映画です。2016年のイタリア映画祭で上映された時興味が出たのでいつか機会がきたら見たいと思っていたところ、Gyaoで無料放映されていたので見ました。ただし、日本のアニメという色眼鏡で理解していたので、途中まで暴力場面にへきえきしていて一度見るのをやめ、日を改めて後半を視聴したところ、最後は感動。元気が出る作品でした。良作です。キネマ旬報が好きそうな作品なので、ベスト10に選ばれなかったのが不思議です。知名度が低かったからでしょうか。
トルコ映画『雪の轍』 宗教を問題にしなければ、イスラム圏でドストエフスキーは相性が良いのではないかと思っていましたが(本作は原案チェーホフだが)、これはその事例のひとつかも(ただしTRアマゾンでdvdの出品がないためレヴューが見れず、トルコでの評価は不明です)。
SF
『三体』は冒頭でつまずいてしまいしばらく放置していましたが、そこを突破後は一気に読了。後半ネタが割れてしまってからは失速気味でしたが、前半は確かに凄い、評判通りの作品でした。中国SF短編集『月の光』は、突出したものは感じませんでしたが、粗削りなところのあった『折りたたみ北京』と比べると、はるかに普通のSFの領域に達したように思えます。つまり、「中国」というイロモノ扱いではなく、普通にハヤカワSFシリーズの本として並んでいるSF本のひとつとして、「中国SF」という意識なく読んでも、違和感なく読めるレベルに達している、という意味です。穿越モノというジャンルがあることを今ごろ知りました。他は『SFが読みたい!』ベスト10:2019年一位の『なめらかな世界と、その敵』、『時間のないホテル』(感想)を読みました。
SF映画はあまり見ませんでした(とおもってリストを見てみたところ、Gyaoの無料放映で結構見ていましたが、いづれも気晴らし程度で話題作であっても強く印象に残る作品はありませんでした)。アベンジャーズシリーズは最初の『アベンジャーズ』だけ一応見ていたのですが、今回中間作ははしょって最終作『アベンジャーズ/エンド・ゲーム』を見ました。もともと私には合わない作風のシリーズなので、今回は世の中で流行している作品について学ぶということで見ました。『ANON アノン』は『ガタカ』の監督作であるため期待してみましたが、『ガタカ』程ではなかった。映像はスタイリッシュで良かったのですが、SF小説では30年位前に到達していたバーチャル・リアリティの内容が、ようやく映画で映像化され、技術的にも実現が見えてきた段階の作品としては意義のある作品かと思います。
推理小説
6冊ほど読みましたが印象に残ったのは『不穏な眠り』(葉村昌シリーズ)、『指差す標識の事例』、『言語の七番目の機能』(感想)くらい。
その他漫画
ルミとマヤとその周辺、 屍人荘の殺人、九龍ジェネリックロマンス が面白く読めました
ルミとマヤとその周辺、作者ヤマザキマリの幼年時代を題材とした昭和中期のノスタルジックな作品です。ヤマザキマリと私は同年代、ヤマザキ氏は千歳市、私は川崎市という違いはありますが、生活風景は非常に似ています(日本全国で見られた風景になるように描いたのだろうけど)。ノスタルジーとして共感できます。当時に戻りたいとはまったく思いませんが。
九龍ジェネリックロマンスもノスタルジックな作品です。香港だけではなく、現在の中国の都市部でもスラムが次々と撤去され、「みんな貧しかったけど人間的な交流があった」というような風景は急速に失われているわけですが、少しSFチックでミステリアスな作風とノスタルジーが絶妙にブレンドされていて、最初の方(1-2巻)は面白かったのですが、バイオテクノロジーや陰謀めいたガジェットが登場してきて、少し失速してきた感じです。
音楽
今年はドラマを見る量が増えてしまった副産物なのかドラマの主題歌に気に入ったものが多数見つかりました。曲を聴くとその頃の自分の生活風景を思い出すくらい何度も気に入って何度もきいていた曲が何曲も登場したのは2001年の小柳ゆきとDo As Infinity以来です。
一番気に入ったのがアニメ『波よ聞いてくれ』のエンディング「遥海 -『Pride』」
次に気に入ったのがLONGMAN「Replay」Music Video(TVドラマ『ゆるキャン△』主題歌
ドラマ『ワカコ酒』のエンディング 星たちのモーメント 上野優華
(この主題歌は、OVA『紅い牙ブルーソネット』のエンディングのANGELの「GO!」と印象が似ていて好き)
チート〜詐欺師の皆さん、ご注意ください〜の主題歌 ももいろクローバーZ「stay gold」
映像研には手を出すな! エンディング 神様、僕は気づいてしまった 「名前のない青」
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アレクシオス一世時代にコンスタンティノープルに設置され、皇后イネーネやアンナ・コムネナが隠棲した修道院の規約かつ現存の史料『ケカリトメネ修道院規約』の日本語訳サイトが登場しました。素晴らしい。
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