今年も豊作でした。一昨年のように、年間ベスト1級が4冊ある、という感じではなく、2-4位級の作品がベスト10冊分集まった、という感じです。
(1)書籍ベスト
1.東大講義 歴史学の思考法(感想・紹介はこちら)
2.絵で旅するローマ時代のガリア(感想・紹介はこちら)
3.エティオピア物語(感想・紹介はこちら)
4.世界はありのままに見ることはできない(感想・紹介はこちら)
5.ヒッタイトの歴史と文化(感想・紹介はこちら)
6.ある地方官吏の生涯(感想・紹介はこちら)
7.古代中国の24時間(感想・紹介はこちら)
8.トロイア戦争 歴史・文学・考古(感想・紹介はこちら)
9.岩波講座世界歴史 ローマ帝国と西アジア(感想・紹介はこちら)
10.世界歴史大系 イタリア史1(感想・紹介はこちら)
11.社会科学の哲学入門(感想・紹介はこちら)
12.ネイションという神話
例年なら5-10位くらいの著作が、今年は13-20位という感じです。
13.テッド・チャン『息吹』
14.ローマ帝国の統治構造(感想・紹介はこちら)
15.ビザンツ帝国史(尚樹)(感想・紹介はこちら)
16.三体II黒暗森林
17.マヤ文明(感想・紹介はこちら)
18.岩波世界歴史 1 世界史とは何か(感想・紹介はこちら)
19.ディオン・クリュソストモス『トロイア陥落せず』
20.地中海世界 5 社会的結合と民衆運動(感想・紹介はこちら)
今年も昨年に続き今年出版された書籍だけでベスト10が組めました。最近は図書館にいけるようになってきましたが、実家暮らしでそうそう都心に出るわけにもいかないため、書店や図書館で幅広い書籍を実見して良書を発掘できる機会が減少したことが、新刊読書に傾斜している一因だと思われます(あとは、研究者がコロナで海外フィールドワークがや海外出張ができなくなり、空いた時間を書籍つくりに振り替えたため、目ぼしい著作が増加した、というパターンも割とありそうです)。
1.世界はありのままに見ることはできない
2.ヒッタイトの歴史と文化
3.ある地方官吏の生涯
4.古代中国の24時間
5.トロイア戦争 歴史・文学・考古
6.岩波講座世界歴史 ローマ帝国と西アジア
7.世界歴史大系 イタリア史1
8.社会科学の哲学入門
9.岩波世界歴史 1 世界史とは何か
10.アケメネス朝ペルシア
テッド・チャン短編集『息吹』では歴史SFもいくつかありました。非常にレベルの高い短編集でした。
1/3しか読んでいませんが、『イタリア史2』は良書です。中近世イタリア史の詳細概説は今後久しく定番になるのではないでしょうか。
(2)その他役に立った書籍
①方法論関連
フェイクニュースを科学する、事実はなぜ人を説得できないのか、
②米国情勢 中間層はなぜ没落したのか、実力も運のうち、格差と分断のアメリカ、
③歴史 隊商都市(感想・紹介はこちら)、物語アラビアの歴史、ビザンツ共生と交流の千年帝国(感想・紹介はこちら)、シルクロードとローマ帝国の興亡(感想・紹介はこちら)、モレアの夢(感想・紹介はこちら)、ビザンツ帝国歴史地図
ビザンツ帝国歴史地図は、著者がネットで公開していた内容をネット自費出版で物理書籍としても販売しているものです。ローマ帝国最盛期からビザンツ帝国滅亡までの32枚の地図が掲載されています。ネットで公開されているので問題ありませんが、書籍版において668年までの7枚の地図は地中海全体を1頁で掲載しているため、文字が非常に小さく拡大鏡を使わないと判読できないのが難点です。最初の7枚は見開き地図1枚にした方が良いのではないかと思いました。また、この地図は非常に詳細であり、時代刻みも細かいため、大変有用です。よって英語版を出すべきではないかと思います。販売サイトであるBOOTHでも英語ベースの販売ガイドがあり、海外配送1冊送料¥1070となっていますので、既に海外販売は可能となっています。あとは原文の地名を英語とし、BOOTHサイトの紹介文も英語を用意すれば良いだけです。また、仮に学術的な誤記等が発見された場合、著者にフィードバックするようにしておけば、学術書での引用レベルとして検証され、問題が少なければ、或いは現時点で問題が見つかっても将来的に減少すれば、いずれは学術査読レベルに達し、学術文献での参照書籍に該当するものとして認定されてゆくことになる可能性もあるのではないでしょうか。相互チェックによる検証性を世界レベルに拡張して重複ワークを削減し、全体としての生産性を高めることがインターネット時代が目指すところのものの一つなわけですから、いづれは「Digital Atlas of the Roman Empire」のビザンツ版のようなものに結びついていくと面白いのではないかと思いました(Digital Atlas of the Roman Empireはいつの間にか各地名の解説文がloginしないと見れなくなるよう制限がかかってしまいましたが(多分、アクセスが殺到し、サーバーが耐え切れなくなってしまったので重い処理についてはlogin制限がかかったのだと推測しています。サーバーといっても、恐らく普通のノーパソかデスクトップをサーバーにしているように感じられるので。或いは、以前ドメイン変更がありましたが、最初は個人のデスクトップか何かをサーバーとしていたのを大学のサーバーに移転したため、大学サーバーのセキュリティ上Loginとなったのかも知れませんが)。とにかくこういう世界レベルで共有しないともったいない業績は、どんどん出してゆくべきだと思います(漫画『アンナ・コムネナ』の英語版/フランス語版もそうですが)。
(3)その他面白かった書籍
ポンペイの四日間、地中海世界 4 巡礼と民間信仰(感想・紹介はこちら)、中世ヨーロッパ ファクトとフィクション(感想・紹介はこちら)、トロイア戦記(感想・紹介はこちら)、妻と娘の唐宋時代(感想・紹介はこちら)、アケメネス朝ペルシア(感想・紹介はこちら)、ユヴァル・ノア・ハラリ『21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考』
(4)面白かった映画ベスト
今年は不作の方。例年であればベスト10クラスのものは最初の4本くらいでした。Gyaoでテレビドラマを見る習慣がすっかり定着してしまい、映画はあまり見なかったのかもしれませんが、視聴リストを見ると例年通り60本くらいは見ています。ドラマもそうですが、積極的に探しにいかず、Gyaoで放映されているものばかり漫然と見ている、受け身に終始したため、自分の趣味にヒットしたものが少ない、ということなのかも知れません(上位に入っているグラントリノとアナイアレーション、レッドボット、トロイは有料で視聴したもの)。
1.ヒトラーの忘れもの
2.グラン・トリノ
3.96時間
4.アナイアレーション-全滅領域-
5.トロイ・ディレクターズカット
6.レッドボット(日本語題名「ウォリアー」)(感想)
7.サバイバル・ランド(ノルウェー)、
ベストといえそうなのはこのくらいまでです。以下その他面白かった映画です。
リベレイター南米の英雄(シモン・ド・ボリバル)、俺物語‼、バイス(チュイニー副大統領の伝記映画)、孤高のメス、レッド・クイーン、コンティジョン、WAVE(ウェイヴ)、プラットフォーム(スペイン)(感想)、ふたりの女王、戦場のピアニスト、地獄の花園、女神は二度決断する、X謀略都市(現代ハンガリーの社会派サスペンス)、アイデンティティ
学生時代からずっと見なくてはならないと思っていた名作の何本かを今年もいくつか消化しました。『家族の肖像』、『若者のすべて』、『第三の男』。歴史映画については、次回記事をまとめたいと思いますが、今年は数的にはそこそこ視聴した方ですが、あまりこれといった作品はありませんでした。1月に開催される京都国際ヒストリカ映画祭に期待したいと思います。
SF映画は結構見てました。しかし今視聴リストを見ても内容が思い出せず、Wikipediaであらすじを読んで思い出したりするパターンが多くなっています(キャビンなんかはWikipediaのストーリー読んでも思い出せず、予告編を見てようやく記憶がよみがえった次第)。適当にながら見しているからなのか、年をとって記憶力が減退したからなのか、、、、昔だったら、どれも面白く楽しめたのかも知れませんが、もうSF映画は成熟しすぎていて、凄い映像や定番ストーリーというのは月並みになってきてしまっている、要は陳腐化してしまっている、ということのように思えます。リストからざっと拾ってゆくと以下のSF作品がありました。
TENET、DEBUG、スターウォーズ9、ナイト・ガーディアンズ、ロボット2.0、プラットフォーム、OXGEN、約束のネバーランド、アリータ・バトルエンジェル、スパイターマン2、グリーンランド -地球最後の2日間-、バード・ボックス、宇宙人ポール、レプリカズ、アド・アストラ、シンクロナイズドモンスター、プリデスティネーション、ザ・ホスト、スフィア、フィフス・ウェイヴ、アナイアレーション、Vフォーヴェンデッタ、ハプニング、キャビン
アド・アストラはよい出来栄えだと思いますが、『オデッセイ』の二番煎じ的な部分が目についてしまい、そのオデッセイも、『ゼロ・グラビティ』の二番煎じ的なところが感じられ、結局『ゼロ・グラビティ』だけ押さえておけばよい、みたいな感じになってしまっています。『グリーンランド -地球最後の2日間-』も映像は素晴らしいのですが、どこかで地球規模の災害パニック映画としては見たことのある内容。OXGENはそこそこ面白いのですが、低予算シチュエーションスリラーモノとしてはよくある範囲。初めて見る人には面白いかも知れませんので、そういう紹介の仕方も必要なので、これらの作品は決して面白くないとか、駄作というわけではありません。単に年間ベストに選ぶほどではない、ということです。でもまあいまいちな作品もあって、スフィアは、ビデオ屋に大きく看板が立っていたのを記憶していて、いつか見たいと思ってはいたものの、深海モノが趣味ではない、というだけで見ずにいたものですが、今回Gyaoで無料公開されていたので見ました。・・・まあやはり、見なくても良かったかもな作品でした(Amazonレビューにある大方のご感想の通りでした)。『フィフス・ウェイヴ』、ウィルス生命体侵略ものとしてはありがちですが、ティーンエージャーが主役なので、ティーンエージャーが視聴するには思白いのではないかと思います。プリデスティネーション、題名の似ているプレステージみたいな質感と味わいの作品。これも結構佳作ですが、プレステージのように、同じ類型の先行作品があるため、新しさを求めるのではなく、敢えて同じジャンルの作品を見たい、という時にはいいかもな作品。一方『約束のネバーランド』、原作未読ですが日本がハリウッドによくあるホラー系ファンタジーの真似をしようとした感しかない作品。
スリラーやサスペンスものも10作ほどみましたが、SFと状況は大差ないので省略します。
(5)面白かった漫画
今年も漫画はあまり読みませんでした。ここ数年コロナに入る前から漫画喫茶にいかなくなっていましたが、今年はドラマから入った『ハコズメ交番女子』にハマってしまい、巻数が多いため、漫喫に行きたかったのですが、全部電子で読みました。ドラマの最初の3話くらいが面白かったので原作を検索したところ、1-3巻が電子無料セールスしていたので読んでみたのですが、ドラマを上回る面白さにハマってしまいました。ドラマは後半トーンダウンしてしまいましたが、原作の方は、ひき逃げ事件の犯人をつかまえ、被害者の先輩婦警が復帰を決意するところが一つのピークだったように思えます。
1.地図にない場所1-2
2.ドラマハコズメ交番女子1-18
3.アンナ・コムネナ 1(紹介)
4.松井さんはスーパールーキー1-2
5.屍活師1-18
6.マキとマミ-上司が衰退ジャンルのオタ仲間だった話
6.マキとマミ-上司が衰退ジャンルのオタ仲間だった話
屍活師もドラマから入ったもの。今年仲間由紀恵主演の2時間ドラマがGyaoで放映されていたのでブログ記事を書きながらながら見していたのですが、一切頭に入らず記憶にも残らなかったので、やはりドラマ放映と連動して無料公開されていた1-3巻を読んだ、というものです。凄く面白かったわけではないのですが、一応ミステリーものなので、寝る前に少しづつ読むのにちょうどよく、睡眠前休憩用として少しづつ読んでいたら、いつの間にか読了してしまいました。惰性で読むのにちょうどいい作品ではあったのですが、最後の数巻は、それまでの伏線が全部回収されてゆくなかなかの構成でした。Amazonの感想では、打ち切りのように展開が唐突、と感じられた人もいるようですが、私は逆に、長期連載で唐突に終わる作品も多いなか、初巻の方から散りばめられた伏線が、最後の方でどんどんつながってゆく展開は読みごたえがありました。だいたい長期連載ものは、最初の数巻を読み返すことはあっても、最後の方はあまり読み返すことはなかったりするわけですが、本作品は、最後の17,8巻は何度も読み返しています。ロボットのようにクールだった主人公が激しく動揺し苦しむところは見もの。
今年はアマゾンで無料本をせっせと購入する悪癖がついてしまいました。今年1年だけで100冊以上無料購入してしまったのですが、読んだのはほぼハコズメ女子と屍活師の6冊だけ(たぶん)。購入に結びついたのもハコズメ女子と屍活師の計30冊だけ。100冊無料で購入30冊、というのはセールス方法的にはどうなのか、と思うものの、残り94冊はまったく読んでおらず(最初の数頁だけ試し読みで読み興味を持ったものを購入したわけですが)、電子積読のまま。ここで思うのは、最近の無料セールス、少しやり過ぎでは?というもの。地下鉄サリン事件以来、地下鉄等のゴミ箱が撤去された結果、電車の吊り棚に放置される雑誌というものが激減した、という傾向があります。わたしは子供の頃からあまり漫画雑誌を購入したことがなく、店頭で立ち読みするか(昔はしばってあることはなく、立ち読みし放題だった)、電車の吊り棚放置雑誌で読んでいるか、飲食店におかれている雑誌で読んでから気に入った連載や気になる連載をコミックで購入する、というスタイルであったため、放置雑誌というのは漫画の広告としての機能が高かったように思うわけです。現在その部分を無料セールスや試し読みがカバーしているわけですし、漫画喫茶も減少傾向にあることから、無料セールスや試し読みは、広告としてある程度は必要だと思うわけです。なので期間無限定というのは行きすぎかも知れませんが、ある程度の無料公開というのは必要なのではないかと思っています。
ところで、今年冬目景『空電の姫君』、山田 果苗『東京城址女子校生』が完結してしまいました。やはりマニアがレビューを書いてしまうと売れずに打ち切りとなってしまう、という原理がここでも証明されてしまったような気がします。どちらも打ち切りっぽい終わり方となってしまい、レビューも書きづらくなってしまいました。
地図にない場所は、30歳で早期引退した世界的バレリーナと兄弟と比べて能力のなさに自信のない中学生の少年が主役で、二人が地元で都市伝説的に語られている「地図にない場所」を探す、という話です。地図にない場所が「先の見えない人生」を象徴しているような面白さがあります(いまのところは)。
今年は最後に、表彰コーナーを設けてみました。こんな賞を設置することになってしまったのも、両者ともとにかくキャラが立ちすぎなのです。
主演女優賞
1.ペンテシレイア(『トロイア戦記/ホメロス後日譚』)
2.アンナ・コムネナ 佐藤二葉『アンナ・コムネナ』
主演男優賞
リーアム・ニーソン
しょっちゅうGYaoで作品が無料公開されているので、ここ数年で結構な作品を見てしまいました。最初のうちはリーソンの名前さえ知らなかったのですが、最近漸く名前を覚えることができ、調べてみるといつの間にかワンパターンといわれる巻き込まれ型サスペンスアクションだけでも10作くらい見ていることを知りました。彼がスターウォーズのジェダイマスタークワイガンだったことは更に最近知ったところです。というわけで、今年個人的にもっとも印象に残った俳優リーアム・ニーソンが主演男優賞です。巻き込まれ型サスペンスアクションは、なんだかよくわからないうちに巻き込まれる→わけもわらず頑張る→満身創痍になりながらだんだんと謎が解ける→大がかりで派手なアクションで終わる
というところがワンパターンなわけですが、ストーリーは毎回異なり、それなりに練ってあるので、わりと安心して気晴らしに見るのにちょうどよい作品です。今のところ、毎回期待を裏切りません。一作見て面白かったら、その他作品も結構お奨めです。
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